子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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ちゅうちゅうちゅう

ちゅうちゅうちゅう



我輩は吸血鬼である。
名前はピエール。
吸血鬼界のなかでピエールの名を知らぬものはいない
と思うくらい有名な吸血鬼なのである。
どれくらい有名で偉大かというと
それは人間の世界では富士山くらい有名である。
吸血鬼のなかで知らぬものはいないくらい偉大で有名なのである。
そんな大吸血鬼の我輩は新しい街にやってきて
もう一ヶ月くらいたったのである。

ところが困ったことが起こったのである。
我輩は美女の生血が大好物なのであるが
さっき申したとおり我輩があまりに有名すぎるために
街の人間たちにもその噂が広まってしまい
夜には若い女たちを一箇所に集めて男衆が街総出で守るようになってしまった。
さすがの我輩も男全員相手では勝てないのである。

それで最近はもっぱら気休めにトマトジュースで我慢している次第だ。
しかしそれもやはり無理があるようだ。
美女の生血とトマトジュースではちがいすぎる。
せめて人間の血を吸わなければ。

しかしそうなると男かおばはんたちになる。
どちらも我輩は大嫌いだ。
飲んだら吐き出しそうだ。
だがこのままでは外で干された椎茸のように
我輩の体は干上がってしまう。
やむをえないところにきている。
我輩はおばはんの血を吸うことに決めた。

そういうわけで今晩おばはんがいる家に忍び込んだわけである。
ちょうどいい具合に顔を下に向けてうつぶせに寝てた。
そして規則正しくトロンボーンのような低音のいびきをかいていたのであった。

髪は黒髪のロングでタコのようにまばらに散らばっていた。
しかし月明かりが髪を照らしているが
若い女に特有な髪の光沢も香りもなかった。
それを見ながらやはり我輩は迷っていたのである。

吸うべきか 吸わぬべきか

考えてみれば人生というものは
Y字路の連続のようなものなのである。
常にどちらの道を行くか選ばなければならない。
どちらに行くかでまったく違った人生になってしまうこともある。
慎重にならなければならない。

我輩の腹がなった。
その音はチェロのように優雅だった。
しかしトロンボーンとチェロの二重奏は我輩を苛立たせた。

吸おう。
吸ってしまえ。
ついに我輩の牙はおばはんの首筋に刺さったのであった。

ちゅうちゅうちゅう

吸ったと同時におばはんも起きた。

「ぎゃーーー」

低い男のような声だった。
むしろ男だった。
長髪のおっさんだったのだ。
よくみると頭のてっぺんがはるか彼方の地ジパングに布教におもむいた
かの宣教師ザビエルが如く禿げ上がっていたおっさんだった。
我輩は即座に吐き出そうと思った。

う・・・

だけどまてよ。
我輩の舌にはほのかな幸福が広がっていたのである。
すべての先入観を捨てよ。

これは美味いぞ。

レッド・センセーション

赤の感情



赤い悪魔。
ぼくはあいつのことをそう呼んでいる。
あいつのことを見るたびにおぞましい感情がわき起こるのだ。
あいつを見るたびお腹の奥の内臓が自然の理に反抗する。
なんでも自然のままにすることが正しい自然の道なのであるが
人間があのような物を食べること自体不自然と言える。

そう思った僕は冷蔵庫からあいつを取り出して
こっそり公園の壁に投げつけた。
しばらくその赤い塊の成れの果てを見てみると
段々とずりずりと下に落ちていく様は
まるで吸血鬼が口から血をたらしているようで
ゾゾゾと不気味な気分になった。
しかしこれで今夜のおかずにあいつが出ることはなくなるだろう。

ぼくはトマトが大嫌いなのだ。
あんなものは食べ物と呼べないと思っている。
でもうちのママはトマトが大好きで
1週間に6回くらい食卓にあいつを並べるのだった。
ぼくは何回も嫌いだって言ってるのに。
トマトは体にいいのよって出すんだ。
ただ単に自分が食べたいだけのくせに。

そんなわけで公園の壁に投げつけたから
今夜は出てこないだろうと思って
ちょっとほっとしているわけ。

でもしばしば期待は失望の母であるとおりに
そんな安堵感はもろくも崩れ去るわけだ。
崩れ去る・・・まさにその通りだ。
それはあたかも砂の城のよう
期待しては失望に変わる。
今晩の夕食ハンバーグの横に
しっかりトマトがそえてあったんだ。

なんでなんでなんで

「なんで今日もトマト入ってるの?」

「トマトいそいで買ってきたのよ。ママ大好きだから」

ママが言うには遺伝子的見地に立つと
ぼくがトマトを嫌いなのは間違いだと言うのだ。
それはきっと勘違いだから
きっと好きになれるから食べなさいと。

しばらくトマトじっと見てたら
なにか目まいみたいなものがしてきた。
そしてなにか聞こえてきたのだ。

「ぼく嫌われ者だから」

はっとまたトマトを見てみたら
今度はぼくがトマトになっていた。
その前にはなぜかぼくがいる。
ハンバーグをむしゃむしゃ食べているけど
一向にトマトを食べようとはしていなかった。
そりゃぼくはトマト嫌いだから仕方ないと思ってたけど
ずっとそういうかんじが続いたから
おもわず思ってしまった。

「好き嫌いしてないではやく食べんかい」

男の子女の子

男の子女の子



わたしはタニシざんす。
いちおう名前はタニーざんす。
タニシの世界は広大でこの地球上でタニシがいない陸地は南米大陸だけざんす。
それはそうとわたしは困っているざんすよ。

男か女か
それは生物にとっては非常に重要なことざんすが
我々タニシという生き物は男と女の区別がなかなか上手くつかないざんす。
ちなみにわたしは男ざんす。

ある日わたしが河の勢いが少ない場所でまったりとくつろいでいるところ
男が近づいてきたざんす。
別段気にはしなかったざんすよ。
ここは体を休ませるのには最適な場所ざんすから。

ところがそれからというもの
ずっとわたしの近くによってきては
まとわりつくような熱視線をあびせてくるようになったから

ははーん、なるほど。

この男はわたしが女だと思っているとわかったざんす。
男か女か見分けがあまりつかないタニシの世界ではありがちなことざんすね。
それはもう暑いサウナで隣にいる人がジリジリと近づいてくるぐらい
気持ち悪かったざんすけど
ふといいことを思いついたざんす。

そうざんす。
いっそのこと女になりすまして
この男をからかってみたら面白いかもしれないざんすね。
そう考えたんざんす。

それからわたしはなるべく御淑やかに振舞うようになったざんす。
そうしたら面白いものでその男は何かモジモジした動きを見せ始めたざんす。
おもしろいざんす。
わたしはその男の様子をチラチラ見てはほくそ笑んだんざんす。
そうして何日か面白がったざんす。

顔がトマトのように赤くなる奴ざんす。
その様子を見ているうちにわたしに油断という心が生まれていたざんす。
こいつは何かしたくてももじもじするだけの
シャイで内気な奴ざんすと。

ところがある日急接近してきたざんす。
いきなり上から人間の足が降りてきて
あやうくその男とわたしは踏まれてしまうところだったざんす。
足が降りてきたいきおいでその男が水圧で吹き飛んで
タニシにしてはとてつもないスピードで急接近してきたざんす。
そしてそのことをいいことにその男はそのまま勢いよくわたしに近寄ってきたざんす。
しまったと思ったざんす。
わたしたちタニシは逃げるスピードがとても遅いざんす。
このままではまずいことになるかもしれないざんす。
仕方ないからわたしは正直に白状することにしたざんす。

「わたしは男ざんすよ」

するとその男はこう言ってきたざんす。

「わかっていた」と

わたしは大急ぎで逃げることにしたざんす。

ぼくはアンモナイトと出会い

アンモナイト芸術



アンモナイトは芸術だ。
そうぼくが確信したのは一年前の夏のある日だった。
それは本当に燃えてしまいそうな暑い日だった。
一時でも涼を求めてぼくは木陰に隠れた。
腰を落とすとふと手に何かふれる感触があった。
それは見たことのない不思議な石だった。
なかに何やら螺旋のような模様があり
ぼくは見た瞬間その石の虜になった。

辞典で調べたらそれはアンモナイトという生き物の化石であることがわかった。
それからというものぼくはアンモナイトの化石を集めることに没頭したのだ。

ちなみにぼくは芸術家だ。
だけどほとんど絵が売れないから
通りかかった人の似顔絵を書いて生計をたてている。
しかしアンモナイトの化石を見つけてからは似顔絵書きをひとまず休業だ。

土という土
崖という崖をしらみつぶしに調べた。
意外とあるもので結構な数の化石を手に入れた。
今まで気にも留めなかったがここは海に近いせいか
よくそういう化石がとれるらしかった。

この魅惑の螺旋にとりつかれたぼくは
当然のように集めた化石をもとにアンモナイトの絵を描くことにした。

そして一枚だけ絵を描いてみた。
それは貝殻だけをそのまま忠実に描いたものだが
一枚だけ書いてみたところで
中身はどんなものなんだろうと強く思うようになってきた。
しかしアンモナイトの化石というのは貝殻の部分しか残っていなくて
その中身がどういうものなのかちっともわからなかった。
友人や親戚や牧師様に聞いても誰も知らなかったので自分で想像してみることにした。

普通に考えれば普通の貝
たとえばタニシみたいな感じなのかなと思う。
しかしこれほど芸術的な螺旋を持つ貝殻の主が
タニシの如きしょうもない生き物と一緒なはずがない。
やはり常人が想像できないような生き物に違いないのだ。

ドラゴンだ。
ふいにそう思った。
貝殻の中身はドラゴンのような強い生き物に違いない。
この貝の大きさからだとおそらく小さいドラゴンだろうが
ドラゴンが貝殻に入っているに違いない。

それからアンモナイトの絵を描きまくった。
あの芸術的な螺旋とドラゴン。
これ以上の組み合わせはないと確信した。
絵を見た連中はみんな「そんなバカな」と笑ったが
ぼくは全然気にしなかった。

芸術とは信じることだ。
自分が思い描いたイメージを信じ込む。
とことん信じ込む。
そうすることで最高の芸術が生まれるのだ。

しかし
それからしばらくして
アンモナイトの中身が残っている化石が出てきたというニュースが飛び込んできた。
ぼくは中身がどういうものか大変気になったが
新聞を買って見るのに少し躊躇していた
ドラゴンでなかったらどうしよう
そうやって迷っていたら新聞が風にのって運ばれ
ぼくの顔の上に到着した。
そして発見したのだ
アンモナイトの記事を。

なんだこれは?
それが素直な感想だった。
この芸術的な螺旋にイカのような足がにょろっと出ている。
なんの面白味もないものだった。

一気に何かがひいていく感じがした。
そして立ちすくんだ。
その時かつて絵を見た連中のひとりがぼくのそばにより
アンモナイトの記事を見たかと催促してきた

「見ていない。あんなものはアンモナイトではない」

ぼくはそう言って新聞を破り捨てたのだ。

ご先祖様

ご先祖様



イカの太郎とタコのハッチは仲良しだった。
しかし、時々ケンカをした。
そんな時は決まってこういうふうに言い争いをするのだった。

「なんだよお前なんかタコのくせに生意気な」
「お前こそタコより劣ったイカのくせに」

お互い「イカのほうが優れている」「タコのほうが優れている」と言い争いをするのだった。
当然こんな言い争いは決着がつくはずがなく延々と続くわけだが
今日は太郎とハッチの母親が仲裁に入って静まった。
ハッチの母親がハッチを平手打ちしようとしたところを
太郎の母親がとめてこう優しく二人に言った。

「イカもタコもご先祖様は一緒だったんだよ」

太郎とハッチは衝撃を受けた。
だとすれば僕たちは兄弟みたいなものなのか。

「イカとタコのご先祖様は貝殻つけて海を優雅に泳いでいたのよ」

太郎とハッチは太郎の母親の話を聞きいった。
さっきまでケンカをしていたことをすっかり忘れて
そして二人ともご先祖様のことが頭から離れなくなった。
そして想像力のかぎりをつくしてイメージを膨らませていったのだった。
優雅な優雅なご先祖様の姿が太郎とハッチの目の前に現れるかのようだった。
だが同時に疑問も浮かんできた。
二人同時に太郎の母親に質問した。

「なんでご先祖様は貝殻をとってイカとタコになったの?」

すると太郎の母親は困った顔をしてハッチの母親と一緒にどっかいってしまった。

お母さんたちでも知らないんだ。
太郎とハッチはなぜご先祖様が貝殻を捨てたのか
いくつか理由を考えたのだった。


理由1 重たかった

海をもっと優雅に泳ぎたかった。
そのためにはこの貝殻どうも重たかった
えい、いっそのこと脱ぎさってしまおう
そういうわけで貝殻を捨てた


理由2 イメチェンしたかった

ご先祖様の貝殻は非常にデザインが優れており
海の仲間たちの間で評判がよかった
ゆえに貝殻を変えたいとは言い出しにくかった
えーい、めんどくさい
いっそのことこんな貝殻脱ぎさってしまえ
そういうわけで貝殻を捨てた


理由3 自由になりたかった

とにかく自由になりたかった
この貝殻が自分を束縛している気がした
なぜにこの貝殻は自分を束縛するんだろう
えーーい、こんな貝殻脱ぎさってしまえ
そういうわけで貝殻を捨てた


ここまで考えて太郎とハッチはしっくり納得できていなかった。
なにかが違う気がしたのだ。
それから二人は日が沈むまで一緒に考えた。


理由4 自分の貝殻がどんな感じか見たかった

海の仲間に大絶賛のデザインをした貝殻
実は自分で自分の貝殻を見たことがなかったから非常に気になっていた
自分の貝殻はどういう感じになっているんだろう
気になりはじめたら眠れなくなってきた
そうだ、一回くらい貝殻から出て見てみても平気なのでは
よし、この貝殻脱いでみよう
えーーーい
ふーん、自分の貝殻はこんな感じなのか
よしよし、それじゃもとに戻ろうか
あれ?あれ?
戻れなくなっちゃったよ!!


これだ!!
太郎とハッチはようやく納得したのだった。
プロフィール

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

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