子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エスカルゴ

エスカルゴ



散歩することが日課だった。
日課というよりかはそれしかすることがないと言うべきか。
腹が減っていたが食べれるものがあまりなく
しょうがないから外に出て気を紛らわすのだ。
男は失業していた。

その日は雨がビー玉のように
バチリバチリと降ってくる空だった。
ビニール傘がいかにも破れそうな音を立てていた。

ふと足元の歩道の白線をみるとかたつむりが二匹いた。
二匹はかたつむりだからそんなことはありえないだろうが
何か喜びあっているように見えた。
まるでひさびさの再会を喜ぶ生き別れた親友のよう
だったけど
男はふと

「食べたらおいしんじゃない」

と思い家に持ち帰ることにした。
何と言ってもエスカルゴというフランス料理があるくらいだ。
どうやって食うか。
やはり焼いて食うか。
醤油とバターにつけて焼けばそれなりにおいしそうだ。
まてよ先に味付けすると塩分で溶けてしまうのだろうか。
だとしたらある程度焼いてからじゃないとダメかな。

かたつむりを指でつまむと
クネリクネリと触覚を動かした。
何か命乞いをしているのかなとは
ちょっとは考えてみた。
しかし本当に空腹な男には情けなど持ち合わせていけないのである。
二匹を左手で持ちながらフライパンをせわしなく取り出した。

灼熱地獄だ。
あるいは火炎地獄だ。
きっとこのフライパンの上で身を焼くというのはそういうことに違いない。

地獄なんてあるかわからないが
今このかたつむりにとって俺は地獄の鬼そのものだろう。
人間にとって
いやすべてのものは立場によって心が変わるものだ。
人間の俺はかたつむりを焼くことになんの罪だろうか。
地獄の鬼にとって人間を焼くことなんて
なんの感情もなくやってることなんだろう。
地獄の鬼としてやることをやってるだけなのだ。
腹がへったら人間以外の動物や植物を食べる。
それは人間のやることだ。

ふと体が熱くなった。
気がつくと目の前にグツグツと煮えたぎる熱湯
いや、これは血の池だ。
大きな釜があってそこに満ちていた。
溶けそうな皮膚をベロベロしながら
人間たちがたくさんもがいていた。
呻いていた。
沸騰する血の池だ。

それらを見て俺は何も感じない。
俺は何も怖ろしくない。
何も後ろめたいことはない。
なぜなら

俺は鬼だからだ。

はっと我にかえるとそこはいつもどおりの我が家だった。
片手には二匹のかたつむりがあった。
よし食おう。
そう思った瞬間。
かたつむりには寄生虫があることをふと思い出した。

「ばっちい」

俺は窓から二匹を放り投げて手を洗うことにした。
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【エスカルゴ】

散歩することが日課だった。日課というよりかはそれしかすることがないと言うべきか。腹が減っていたが食べれるものがあまりなくしょうがないから外に出て気を紛らわすのだ。男は失業していた。その日は雨がビー玉のようにバチリバチリと降ってくる空だった。ビニール傘が...

-

管理人の承認後に表示されます

-

管理人の承認後に表示されます
プロフィール

子牛

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

クリックするとランキングがあがるそうです。 よかったらお願いします。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。