子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

シャルー・ウイー・ダンス?

シャル・ウイー・ダンス2



目の前に美女が転がっていた。
いやこんな表現はないのかもしれない。
だが確かに転がっていたのだ。
倒れて転がり続けている。
ぼくは何がなんだかわからず
しばらくの間その様子を見ていた。

10分くらいたった後
美女は転がるのをやめた。
そして仰向けに倒れたまま手足をワナワナと奮わせ始めた。
よく見ると右手に何か持っていた。
それはかじりかけのキノコだった。

このままでは危ない
そう思い、ぼくは水筒のお茶を彼女の口に持っていった。
はじめは吐き出していたがじょじょに飲み始めた。
しばらくすると大分落ち着いてきて震えも止まった。
そしてまぶたを閉じてすやすやと眠ってしまった。
ぼくは抱えた手をどうすればいいのか
ここでそのまま寝かしておくわけにもいかず
硬直状態になってしまった。

しかしなんと美しい顔をしているのだろう。
すべての顔のパーツがはっきりとしていて
あたかも絵画の世界から抜け出てきたような
現実ばなれした美しさをはなっていた。
ぼくは自然とくちびるに顔を近づけた。

あと少しで口づけできそうなところで
眠れる森の美女はぱっちり目を覚ました。
ぼくは口をとがらせたまま
あたふたしていると

「王子様」

と美女は言った。

どうやら彼女は幻覚を見ているようだった。
ぼくはどう見ても王子様なんかには見えない
髪もぼさぼさだし
服も高校生の時からずっと同じの着てるからくたびれてる
そんなぼくをこともあろうに「王子様」だなんて
幻覚の症状がよっぽどひどいに違いない。
でもつい面白くなってこう言ってみた

「一曲ぼくと踊りませんか?」と

そんなわけで今この美女と一緒に踊っている。
曲はなにもかかっていないけど
チークダンスでゆっくりゆっくり踊っているのだ。
それは夢のような時間だった。
踊っているうちにはっきりわかってきた
ぼくは彼女を好きになっているって。
離れたくないと思った。

たからいつ彼女が正気に戻るか。
それだけが気がかりになってきた。
正気に戻ったらきっと
もう踊ってはくれないだろう。
いやそれどころか。
警察に行ってしまうかもしれない。

そして、
だんだんと彼女が正気に戻っていくのがわかった。
まだ少し震えていた体もおさまり
目もうつろだったのが
はっきり見ている目に変わっていった。
ぼくはたじろいだ。
そして観念した。

「すまない、つい・・・」

すると彼女は小さい声で

「いいえ、こちらこそごめんね」と言った。

それからゆっくりと話し始めた。
どうやら彼女はだいぶ前から正気に戻っていたようだった。
幻覚を見てるふりして踊りに付き合っていたみたいだ。
やっぱりそうだったんだな。
どうやらからかわれていたのは
ぼくのほうだったらしい。

「さよなら」

そう言っていさぎよく去ろうと思った。
そうしたら聞こえた。
か細い声で

「わたしもあなたと踊りたかったの」

その時、ぼくは手を握ってまっすぐ彼女のほうを見て言ったんだ。

「あらためてぼくと踊ってくれますか お姫様?」
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

クリックするとランキングがあがるそうです。 よかったらお願いします。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。