子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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アワビとウニ

ラッコ2






ラッコの被害は甚大だった。
ここは北の地方の小さな村、村人の9割は漁師の村。
村人は困り果てていた。

この村ではアワビとウニをとって生活していた。
アワビとウニは村の宝だった。
ラッコはそのアワビとウニを食いまくるのである。

困り果てた村人はラッコをどうしようか夜な夜な集まって会議した。
どうしようかと思ってもどうしようもなかった。
なぜならラッコは絶滅危惧種だからだ、絶滅危惧種の動物を人間が勝手にどうこうしてはいけない。
だから、どうしようもなく、仕方ないからグチの言い合いになっていた。

ある日、この村に住む娘、リョウコは、この現状をどうにかしなきゃいけないと思い
ラッコと対話をすることにしたのだった。

リョウコは港にむかった。
港は枯れ木のように活気を失っていた。
村人は誰もいなかった。

停泊している無人船の横に浮かび上がる動物を見つけた。
ラッコだ。リョウコは駆け寄って近づいた。

「もしもしあなたはラッコですね。」

我ながら何てことを聞いているんだ、とリョウコは思った。第一ラッコが人間の言葉を理解できるとは思えない。しかしラッコは口を開いた。

「んだ、オラはラッコだが、お前さんは何だ。」

ラッコが話したことに度肝を抜かれたリョウコは驚いてその場で腰をぬかしそうになったが、今わたしがへこたれたら村がつぶれるかもしれんと思いふんばった。

まず、何を話せばいいか迷った。
あまり難しいことはラッコにはわからないかもしれないと思った。
だからストレートに頼むことにした。

「もうアワビやウニを食べないでください。」

そう言ったらラッコはきょとんとした顔でこう言った。

「アワビとウニって何だ?」

ああ、やっぱりわからないか、そう思いリョウコは懇切丁寧にこれがアワビでこれがウニだと説明した。それだけで結構時間がかかった。ラッコはところどころで首をふりうなずいて、「なるほど、なるほど」と相槌をうった。それでようやくアワビとウニがどういうものなのか理解したところで、

「やだね」

と言った。リョウコは絶望した。ラッコにたいしてあんなに丁寧に説明した人は今までの歴史上いなかっただろうに、ラッコときたら「やだね」の三文字でことわったのだ。

リョウコがイラだっているのを見たラッコはちょっと申し訳なさそうな顔をして「だって」と続けた。

「だって、海にあるもの食べて何が悪いんだ。食べなきゃオラは死んでしまうぞ。お前らだって何か食べて生きているんだろう。第一、海にあるものはお前らのものじゃないだろうが。」

死んじゃうという言葉を聞いて急にラッコのことがかわいそうに思えてきた。
リョウコはその後もラッコに他のものではダメなのかとか話したが思うように話が決まらなかった。結局そのまま家に帰ろうかなと思った、その時だった。

「殺しちまえばいいんだ。」

後ろを振り返ると村の男たちが三人いた。
手にはクワやらスキを持って殺気だっていた。

「殺しちまえばいいんだ。」

男たちはもう1回言って、ラッコのほうに向かっていった。

その時リョウコは反射的に海に飛び込んだ。
そしてラッコをお腹に抱えて背泳ぎで逃げた。
なんだか知らないけど、リョウコは母性が目覚めるのを感じた。

男たちは追ってはこなかった。
リョウコは背泳ぎしながら男たちが遠ざかっていくのをながめていた。
リョウコのお腹の上でラッコはウニを食べていた。
コメント
 虫が飛んでいます。おばちゃんは、手を広げています。僕は見ています。おばちゃんは、手と手を合わせます。パチン。
 今、思えば、僕は窓を開けるべきだったかもしれないです。
2009/03/10(火) 07:47 | URL | ツヨシ #-[ 編集]
絵がすてき(o・(エ)・o)

可愛い(o・(エ)・o)

内容も可愛くて素敵ですね。
2009/04/27(月) 14:58 | URL | 少女椿 #-[ 編集]
ありがとうございます。
また来てください。
2009/04/29(水) 22:26 | URL | 子牛 #-[ 編集]
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Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

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