子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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ぼくはアンモナイトと出会い

アンモナイト芸術



アンモナイトは芸術だ。
そうぼくが確信したのは一年前の夏のある日だった。
それは本当に燃えてしまいそうな暑い日だった。
一時でも涼を求めてぼくは木陰に隠れた。
腰を落とすとふと手に何かふれる感触があった。
それは見たことのない不思議な石だった。
なかに何やら螺旋のような模様があり
ぼくは見た瞬間その石の虜になった。

辞典で調べたらそれはアンモナイトという生き物の化石であることがわかった。
それからというものぼくはアンモナイトの化石を集めることに没頭したのだ。

ちなみにぼくは芸術家だ。
だけどほとんど絵が売れないから
通りかかった人の似顔絵を書いて生計をたてている。
しかしアンモナイトの化石を見つけてからは似顔絵書きをひとまず休業だ。

土という土
崖という崖をしらみつぶしに調べた。
意外とあるもので結構な数の化石を手に入れた。
今まで気にも留めなかったがここは海に近いせいか
よくそういう化石がとれるらしかった。

この魅惑の螺旋にとりつかれたぼくは
当然のように集めた化石をもとにアンモナイトの絵を描くことにした。

そして一枚だけ絵を描いてみた。
それは貝殻だけをそのまま忠実に描いたものだが
一枚だけ書いてみたところで
中身はどんなものなんだろうと強く思うようになってきた。
しかしアンモナイトの化石というのは貝殻の部分しか残っていなくて
その中身がどういうものなのかちっともわからなかった。
友人や親戚や牧師様に聞いても誰も知らなかったので自分で想像してみることにした。

普通に考えれば普通の貝
たとえばタニシみたいな感じなのかなと思う。
しかしこれほど芸術的な螺旋を持つ貝殻の主が
タニシの如きしょうもない生き物と一緒なはずがない。
やはり常人が想像できないような生き物に違いないのだ。

ドラゴンだ。
ふいにそう思った。
貝殻の中身はドラゴンのような強い生き物に違いない。
この貝の大きさからだとおそらく小さいドラゴンだろうが
ドラゴンが貝殻に入っているに違いない。

それからアンモナイトの絵を描きまくった。
あの芸術的な螺旋とドラゴン。
これ以上の組み合わせはないと確信した。
絵を見た連中はみんな「そんなバカな」と笑ったが
ぼくは全然気にしなかった。

芸術とは信じることだ。
自分が思い描いたイメージを信じ込む。
とことん信じ込む。
そうすることで最高の芸術が生まれるのだ。

しかし
それからしばらくして
アンモナイトの中身が残っている化石が出てきたというニュースが飛び込んできた。
ぼくは中身がどういうものか大変気になったが
新聞を買って見るのに少し躊躇していた
ドラゴンでなかったらどうしよう
そうやって迷っていたら新聞が風にのって運ばれ
ぼくの顔の上に到着した。
そして発見したのだ
アンモナイトの記事を。

なんだこれは?
それが素直な感想だった。
この芸術的な螺旋にイカのような足がにょろっと出ている。
なんの面白味もないものだった。

一気に何かがひいていく感じがした。
そして立ちすくんだ。
その時かつて絵を見た連中のひとりがぼくのそばにより
アンモナイトの記事を見たかと催促してきた

「見ていない。あんなものはアンモナイトではない」

ぼくはそう言って新聞を破り捨てたのだ。
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ご先祖様

ご先祖様



イカの太郎とタコのハッチは仲良しだった。
しかし、時々ケンカをした。
そんな時は決まってこういうふうに言い争いをするのだった。

「なんだよお前なんかタコのくせに生意気な」
「お前こそタコより劣ったイカのくせに」

お互い「イカのほうが優れている」「タコのほうが優れている」と言い争いをするのだった。
当然こんな言い争いは決着がつくはずがなく延々と続くわけだが
今日は太郎とハッチの母親が仲裁に入って静まった。
ハッチの母親がハッチを平手打ちしようとしたところを
太郎の母親がとめてこう優しく二人に言った。

「イカもタコもご先祖様は一緒だったんだよ」

太郎とハッチは衝撃を受けた。
だとすれば僕たちは兄弟みたいなものなのか。

「イカとタコのご先祖様は貝殻つけて海を優雅に泳いでいたのよ」

太郎とハッチは太郎の母親の話を聞きいった。
さっきまでケンカをしていたことをすっかり忘れて
そして二人ともご先祖様のことが頭から離れなくなった。
そして想像力のかぎりをつくしてイメージを膨らませていったのだった。
優雅な優雅なご先祖様の姿が太郎とハッチの目の前に現れるかのようだった。
だが同時に疑問も浮かんできた。
二人同時に太郎の母親に質問した。

「なんでご先祖様は貝殻をとってイカとタコになったの?」

すると太郎の母親は困った顔をしてハッチの母親と一緒にどっかいってしまった。

お母さんたちでも知らないんだ。
太郎とハッチはなぜご先祖様が貝殻を捨てたのか
いくつか理由を考えたのだった。


理由1 重たかった

海をもっと優雅に泳ぎたかった。
そのためにはこの貝殻どうも重たかった
えい、いっそのこと脱ぎさってしまおう
そういうわけで貝殻を捨てた


理由2 イメチェンしたかった

ご先祖様の貝殻は非常にデザインが優れており
海の仲間たちの間で評判がよかった
ゆえに貝殻を変えたいとは言い出しにくかった
えーい、めんどくさい
いっそのことこんな貝殻脱ぎさってしまえ
そういうわけで貝殻を捨てた


理由3 自由になりたかった

とにかく自由になりたかった
この貝殻が自分を束縛している気がした
なぜにこの貝殻は自分を束縛するんだろう
えーーい、こんな貝殻脱ぎさってしまえ
そういうわけで貝殻を捨てた


ここまで考えて太郎とハッチはしっくり納得できていなかった。
なにかが違う気がしたのだ。
それから二人は日が沈むまで一緒に考えた。


理由4 自分の貝殻がどんな感じか見たかった

海の仲間に大絶賛のデザインをした貝殻
実は自分で自分の貝殻を見たことがなかったから非常に気になっていた
自分の貝殻はどういう感じになっているんだろう
気になりはじめたら眠れなくなってきた
そうだ、一回くらい貝殻から出て見てみても平気なのでは
よし、この貝殻脱いでみよう
えーーーい
ふーん、自分の貝殻はこんな感じなのか
よしよし、それじゃもとに戻ろうか
あれ?あれ?
戻れなくなっちゃったよ!!


これだ!!
太郎とハッチはようやく納得したのだった。
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Author:子牛
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