子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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幽霊退治だ 桃太郎

幽霊退治だ桃太郎



「幽霊が出るよ」

お夏は突然そうきりだしました。
ぼくが少しあっけにとられた顔をすると
それを見たお夏は少しほくそ笑んで

「あなた怖いの」

と聞いてきたので
ぼくは「怖くなんかないさ」となにか慌てたように切り替えしました。

「やっぱ怖いんだ」

そうお夏が断言するように言うと
ぼくは少しいらっとして

「怖くなんかないさ!!」

とさっきと同じ言葉を強く繰り返しました。
お夏はぼくの顔をまじまじと見返して

「すまなかったね」

と謝った後にこう言ってきたのです。

「実はね桃太郎さん。あなたを見込んでお願いがあるのだけど・・・」

お夏はぼくがよく行く遊郭にある料理屋の女将です。
若いときからの苦労人で
この競合ひしめく激戦区で自分の店を持つまでになりました。
ただひそかに尊敬はしていましたが
ときおり相手を値踏みするように見る瞳はそんなに好きではありませんでした。

それはともかくお夏の話は大方こういう話でした。
その幽霊は普段は普通の女のようで
この遊郭で客引きをしているようです。
ところが客と二人になると本性を現して白く丸くひょろ長い幽霊に変わり客を脅かしているということでした。
もうこの遊郭中その幽霊の話で持ちきりだというのだというのです。

「それでその幽霊を退治してほしいの」

ぼくは断ろうと思いました。
そうしたらまた「こわいんだ」と言われ
カチンときてつい引き受けてしまいました。

その日から毎晩幽霊を探し回ることになりました。
まずは聞き込み調査です。
この遊郭にいる女は誰でも幽霊を知っているようでした。
しかし妙なことにどの女も実際に幽霊は見たことがないと言うのです。

通りにやってくる男たちにも聞いてみました。
男たちも幽霊を知っているが実際見たことはないと言いました。

何人聞いても同じ感じでした。
本当に幽霊というものがいるのか疑問がしょうじてきたのですが
ぼくは粘り強く幽霊を追跡することにしました。

何日かたった後
なんと自分が幽霊だと名乗る女に出会いました。
「本当に?」と聞くと
女は「本当だよ」と答えたので、
ぼくが刀を抜いたところ女は慌てた顔をして

「嘘です。すいません。本気にすると思いませんでした。」

そう言って逃げだそうとしました。
ここでふいにぼくはある考えが思いついたのです。

幽霊を退治したことにしようと。

「まってください」

そう呼びかけると女性はびくびくしながら立ち止まりました。
ぼくは女性に吉備団子を包んでいた白い布を手渡しました。

「いいですか。今から提灯をおいて全速力で走ってください。その際走りながら「やられたー」と大声で叫んでください。そうしないと本当に斬りますよ」

その女性はうまい具合に「やられたー」と叫びながら逃げていってくれたのでぼくはにやりとしました。
よしこれで任務完了したことにしようと。

依頼主のお夏には無事に幽霊を退治したと伝えました。
とても喜んでくれたのでなにか悪い気がしましたが
これでくだらない幽霊退治から解放されたと思うとほっとしました。

幽霊が退治された噂はまたたく間に広がりました。
そしてそれ以来幽霊の噂はでてこなくなったのです。
まあ人の噂なんてそんなものかなと考えました。
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続・桃太郎

続・桃太郎



あれからというもの僕は悩んでおります。
鬼退治という大偉業をなしとげたのですが
どこか心にしこりが残るのです。

というのもあの鬼退治自体
あれはなんだったんだろうと考えるようになってきたのです。

相手は鬼です。
とは言え
いきなり殴り込みをかけ
金銀財宝を奪ったあげくに
姫を強奪してきた
こういうふうに言いますとまるで僕が
大悪党のように思えてくるのです。

そのことをお婆に相談しましたら

「お前は立派に戦ったんだから胸をはって生きなさい」

と言われました。
そう思いたいです。
でもこの心のモヤモヤは晴れませんでした。

次に戦友である犬に相談しました。
すると犬は烈火のように怒りだして

「俺たちは正義のために戦ったのにそんなことを考えていたのか」

と吠えました。
ぼくはその気迫に押されて逃げるように去りました。
当然心のモヤモヤは解消されませんでした。

トボトボと歩いていると猿に出会いました。
猿は僕の顔を見ると「何かあったの?」と聞いてきました。
ぼくは猿にも相談してみました。
すると猿はこう言いました。

「世の中楽しいものが勝ちなんだ。お前は大金持ちになってあんなベッピンな姫さんまでもらって楽しくないわけないだろう。くだらないこと考えてないでもっと楽しめ。そうだ飲もう。金ならいくらでも持ってるだろう?」

僕は猿の誘いを丁重に断り家に帰ることにしました。
そうだ帰る前に一番頭がいいキジにも相談してみよう。

口笛を吹くとキジは何分後かに空から降りてきてくれました。
僕はキジに今までのいきさつを話して相談してみました。
するとキジはこう聞いてきました。

「金銀財宝と姫が悩みの種なのか?」

僕はしばらく考えた後
「そうかもしれない」と答えました。

「だったら鬼たちに財宝と姫を返せばいいじゃないか」

と言いました。
意外な答えが返ってきたのでビックリしました。
しばらく考えて「それはできない」と言いました。
するとキジは「だったらあきらめろ」と言って飛んでいきました。
僕はモヤモヤしてたものをより一層モヤモヤさせて家に帰ることにしました。

日が沈みかけて
もうあたりは暗くなっていました。
家に帰ろうかと思っている反面
僕の足は繁華街へと向かっていました。
人が多い場所に行きたい気分だったのです。

夜になると提灯をもった女性が中央通りにあふれかえっています。
トボトボ歩いていると袖を二人の女性に掴まれて知らないお店へと引っ張られそうになりました。
その力に屈しそうになったその時
前に一人の老人を見かけました。
その老人は

「金なら桃太郎が稼いだものがいくらでもある。さあうまい酒と女をじゃんじゃん持ってこい」

と言ってお店のなかに消えていきました。
それはまぎれもなく僕のお爺さんでした。

ショックでした。
心のモヤモヤがもっとひどくなったので
僕はお爺さんと違うお店に入ることにします。

魔王

魔王



桜の花を観にいこうと公園まで出かけた。
だれかと一緒というわけでもなく
正確にいえば誰も誘うものがなく
俺は手に缶ビールを持って一人歩いた。
風が強くときおりゴーゴーとうねりをあげて俺の耳をつんざいた。

ゴーゴー

俺はその音に耳をしばらく傾けていた。

慌てた。
たちまち風に流されてしまいそうな
自分がいるような気がして。

公園につくと人がいっぱいだった。
平日だからすいていると思っていたが当てが外れた。
なんと暇な奴が世の中にいるものだと思ったが自分もその一人かと思うとなんだか「ハハハ」と笑いだした。

腹が立ってきた。
ベンチは空いていたのでそこに腰掛けてビールを飲むことにした。
目の前に鳩が3羽いて何か物欲しそうにウロウロしていたので蹴り飛ばそうと思った。
俺の気持ちを察してか鳩はどこかに飛んでいってしまった。

ビールを飲みながら飛んでいった鳩たちを見ていたら
ふと鳩たちは普段どういう生活しているのか気になってきた。

・・・

すると突然自分が鳩になってしまった。
公園の風景はなくなり周囲は見たことのない街だった。
俺の後に2羽の鳩がついてくるのが見えた。
すぐにそれが自分の女房と子どもだとわかった。
なぜだかわからないが子どもが自分に似ていると思った。
目のつり具合とか歩き方だとか。

しばらく歩いていたら自分の家に着いた。
外観も内装も人間の家に変わりがなかった。
テレビもありキッチンもあった。
テレビの目の前には大きめのソファがあり俺はそこにドカッと座った。

テレビを観てみた。
鳩が空から街の風景を伝える番組だった。
鳩の言葉で流れていたが不思議に理解できた。
どうやらここは街の中心にあるということも理解できた。

しばらくすると電話がかかってきて妻がとった。
そしてあわてて俺のところによってきて「王様からの使い」とか細く言った。

次の日、俺は王が待つ城へと向かうことになった。
王の前に立つなり大臣からこう言われた。

「魔王退治に行け」と

意味がわからないし
俺は内心やってられないと思ったが
だが、口からは「へへぇ」と情けない言葉がもれた。




(続く)




家に帰ると女房がもう支度を終わらせていた。
どうやら使いのものがいち早く知らせていたようだった。
放り出されるように家を出ることになった。
俺は本当はやる気がないのだがとは言えなかった。
甲冑を着たら羽根の先に鋭い刃がついていた。
それを見るとなにか気持ちが高ぶるものを感じた。
なんだが俺も男なんだなと思った。

地図を渡された。
このとおりに歩くとそのうち魔王の城にたどり着くということだった。
その地図どおりに歩くことにした。
途中で犬、猿、キジが仲間になった。
おいおいそれは別の話だろうと思った。
しかもみんな鳩より強そうだと思った。

犬と猿は常に仲が悪くチームプレイもへったくれもなかった。
俺はいつも二匹の仲を取り直す役に奮闘することになった。
キジはとくになにもしなかった。
仲良くもならなかった。
そんな奴らをまとめるのも疲れるが決まって吉備団子をだすとおとなしくなった。

魔王の城にたどりついた。
たどり着くにに三日かかった。
もっと遠いものとは思っていたが
この動物たちと一緒にいると三日でも途方もなく長く感じた。

後ろには海がある断崖絶壁に魔王の城はたたずんでいた。
いかにも落っこちそうで見ていてヒヤヒヤしてしまうものがあった。
そしてデカかった。
自分が鳩になってしまったからかもしれないが
魔王の城はやたらとデカく感じた。

正面の門もデカかった。
押しても開かなかった。
ふいに俺は鳩だから飛べることに気づいた。
しょうがないから猿と犬は置いてキジと一緒に飛んで開いていた窓から入ることにした。

中は静けさがあった。
ただそこには安らぎのようなものはなく
ギターの弦を必要以上に堅く張ったような
そんなピンとしたようなキリキリとした緊張感があった。

なかは西洋風のアンティークがところせましと並べてあったが誰かいる気配はまったくしなかった。

不気味だった。
俺とキジは飛ぶのをやめて下に降りた。
すると左の方から誰かが入ってくる音がした。

振り向くとそれは巨人だった。
俺の目線だと足しか見えなかった。
そのデカい足が一歩一歩近づいてきた。
キジはそうそうに飛んで逃げた。
俺も逃げようかと思ったが羽が硬直して動けなくなった。

その巨人は不機嫌そうにため息をついたかと思うと椅子を(この椅子も相当デカい)たぐりよせ俺の目の前にドカリと座り込んだ。

巨人は不機嫌そうなまま爪先をパタパタと動かしていた。
俺は相変わらず硬直したままだった。
誰もいなかった。
犬もいなかった。
猿もいなかった。
キジも飛んで逃げた。
俺しかいなかった。

急に孤独が俺を襲った。

それは大きな冷凍庫にひとり閉じこめられたような
そんな冷たい感触だった。
俺は震えた。

巨人はより一層不機嫌になっているようだった。
大きな溜息を「フーーー」とついた。
息が俺にかかった。
コーヒーと煙草の混ざった嫌な臭いがして俺はむせかえったと思ったら蹴られた。

巨人が俺を蹴った。
俺は何の抵抗もできずに羽根を広げた格好で仰向けに倒れこんだ。

意識が朦朧とするなか見えた。
それは巨人の顔だった。
そいつは笑っていた。
しかし眉間にはしわをよせていた。
そしてそいつは俺だった。

・・・

気がつくともとの公園のベンチに座っていた。
手には飲み掛けの缶ビールがあり
地面には少しだけこぼした跡があった。

俺は周りを見渡した。
そこは本当にいつもの公園だとわかると
俺はイライラした。

ビールをこぼした跡に鳩が一羽やってきた。
脱力感が「フーーー」とため息をこぼした。
鳩を蹴飛ばしてやろうと考えたが
やめて家に帰ることにした。
プロフィール

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

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