子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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水仙人

水仙人2


そこは砂漠。
その男は行き倒れていた。
焼け付くような炎天下だった。
男の顔の脇に蠍が通り掛かったが蠍も暑さが嫌なのか砂のなかに潜って行った。

男は蠍が砂の中に潜って行く様子を坦々と見届けてから「俺はもう駄目かもしれない」と何回も終わることなく考えていた。

この男、ある王国で農業大臣を勤めていたのだが、食べ物について王に忠告をしたのをきっかけに王の怒りをかい国外追放となってしまったのであった。

「もう駄目だ」

もう一度つぶやいた時に目の前に突然老人が現れた。そして男は老人の住居に連れていかれ介抱された。

老人は水を差し出してきた。男は夢中になってその水を飲んでから深々と頭を下げた。このような砂漠地帯では水がどれほど貴重なものかよく理解していたからだ。

老人は「気にかけることはない。こんなものはいくらでも作ることが出来る。」

男は耳を疑った。
いくらでも水を作れるとはどういうことだろう。このあたりでは水を求めて戦争まで起きるというのに、男がそう思っていると老人はそれを察知したかのようにこう言った。

「仙術」

仙術?
仙術とは何か。
男は思った。
それから何日か老人の住居に泊めてもらうことになった。

水はまったく不足しなかった。
作っている所は見ることができなかった。
いつの間にか老人はつくってくるのだ。
しかしどうやって。

男は思いきって仙人に聞いてみることにした。
この水をつくる術さえ覚えれば水不足で苦しむすべての国を救うことが出来ると思ったからだ。

すると老人は三年は修業しなければいけないと言った。
男はうつむいて答えた。

男は死に物狂いで修行にはげんだ。
修行は炎天下の砂漠のなかでずっと座り続け「水」をイメージし続けるというものだった。
脱水状態になり何度も死に掛けた。
しかし男は修行をし続けたのだ。
そして三年の歳月が過ぎた。

或る時、老人は男についてくるように命じた。
いよいよ術を伝授する時がきたのだ。

男は胸を躍らせた。
これで全ての人が水不足で悩むことはない。
水を奪い合って罪のない人々が死ぬこともない。
これはおおげさではなく本当に素晴らしいことなのだ。

老人はラクダの前にとまった。
そしてこう言った。

「よし今からラクダの小便を飲み込みそれを腹の中で水に変え吐き出す術を伝授する」

男はどうしようかと考えた。
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炎球

メロンと王様


これは遠い遠いお国の遠い昔話。

あるところに大変食通で知られる王様がいました。その王様、顔は風船のようにまん丸でお腹はカエルのように膨れ上がっておりました。顔とお腹だけ見ますれば、ちょうど日本でいう「カドモチ」のような姿をされた王様でした。

食べ物が大好きな王様、甘い物が大好きなのでございます。その中でもとりわけ1番好きなのはメロンなのでございます。それはそれは目がないとはまさにこのことを言うのだと納得してしまうぐらいに好きなのでございました。

王様はメロンが収穫されるととれたメロンを全部、自分専用として独り占めしました。それで朝昼晩の三食のデザートには必ずメロンを食べていました。

メロンが収穫される季節の王様は大変機嫌がよく、大きな巨体をゆすりながら「メロンメロン♪」と歌ったり、得意のバイオリンを弾いて喜びを表現したりするくらいでした。
王様が機嫌がいい時は家来も楽でした。しかし、メロンが収穫できない季節になると王様の態度は豹変するのでした。

メロンがないというだけでアルコール中毒患者のように手がワナワナと奮え目がキョロキョロ動き怒りっぽくなり、ささいなことで家来たちを怒鳴りちらすようになったのです。

ひどい時はお后様や王子様を蹴りとばすようになったのです。見るに見かねた忠義者の家臣であるナカールは「王様、自然の食べ物は収穫できない時もあるのです。どうかお気を静めてください」と言いました。すると王様は烈火の如く怒りはじめ、「だったらナカール、一ヶ月以内にメロンがとれる所にまで行ってメロンをとってこい。それまで国には帰って来るな」そう言い放ちナカールを国から追い出してしまいました。

一ヶ月以内にメロンがとれる場所を捜すことなど不可能に近い無理難題ですのでこれは実質、国外追放でした。それからというもの、家来達はどんどん王様から愛想をつかし離れていきました。家来が減るにつれ王様はどんどん機嫌が悪くなっていきました。そのためいっそう家来に当たり散らすようになりました。

そういったわけで王様はよりいっそうムカムカを募らせた次第でございます。そんな王様がある夜、相変わらずムカムカしながらベットに横になると、ある夢を見ました。

王様はテーブルに座っていました。そして王様の前にはたくさんのメロンが置いてありました。当然王様は喜び勇んでメロンを食べはじめました。途中で家来達が何か王様に言っていましたが王様はメロンに夢中で彼らの声を一切聞きませんでした。すると家来達はスーッと朝をむかえたオバケのように消えてしまいました。なおも王様は食べ続けました。

すると突然メロンがメラメラと燃え上がりました。王様はそれでもメロンを食べ続けました。メロンの火は王様に移り王様は火まみれになりました。すると今度はお后様と王子様が水がいっぱいに入ったバケツを持って現れました。お后様と王子様は何かを訴えていましたが、王様はその声を聞かずに「はやくその水を余にかぶせよ」と怒鳴りつけ、なおもメロンを食べ続けました。するとお后様と王子様もスーッと消えてしまいました。

頭の髪がボーボーと燃え上がりはじめた王様は、さすがに火を消さないとまずいと思い立ち上がろうとしました。しかしなんと体が重くて動けませんでした。足元を見るとメロンのような鉄の玉がいっぱい足にこびりついていました。「わー、誰か助けてくれぇ」と叫びましたが、誰も来てはくれません。王様は初めて自分は何てことをしていたんだろうと思いました。

それからしばらくたちメロンの収穫の季節がやってまいりました。当然のようにメロンは王様専用になりたくさん運びこまれてきました。しかし王様の様子が少しおかしかったのです。

王様はげんなりした目でメロンを見るとそれらを脇にどけて一口も召し上がらなかったのです。お后様が驚いてその様子を見ていると「そちらも食べてみよ」と言ってお后様や王子様にメロンをたべさせました。お后様と王子様はいままで食べたことがないおいしさに顔をほころばせました。それを見て王様は家来達にもメロンを振る舞いました。すると家来達も顔をほころばせ「王様ありがとうございます」と喜びました。

考えてみたらメロンに限らず他の者に食べ物を分け与えたのは初めてのことだ。

王様は思いました。

そして、こんなにも喜ばれるものなのか

とも思いました。

この時から王様は変わっていきました。メロンを独占することをやめ、その他の食べ物も家来達に分け与えるようになりました。そして農民からはあまり厳しく年貢をとりたてることはやめたのです。それだけではありません。貧しい人々には王様みずから視察に行き城の蓄えを分け与えるようになったのです。この王様の変化には国中の者が驚き喜びました。そして王様の人気はどんどん上がっていきました。

王様は考えました。余はメロンに取り付かれていたのだと。そして王様はてがみを書きはじめました。それはナカールに向けて書かれた手紙でした。

「ナカールを連れて帰ってくれ」

と家来の一人に手紙を渡しました。家来は喜び勇んでその手紙を受け取ると足早に部屋をでていきました。王様はその様子を見届けると、ホッと一息ついてから椅子に深くもたれ目を閉じました。

カキの子

カキの子


ある日カキを食べたら、種をもったいないと思い庭に植えた。
数日後、ふと庭を見たら芽がはえていた。「おお」と思い近づいてみると芽の上のほうでふわふわと浮いているものを発見した。それは子供だった。ただ人間の子よりもだいぶ小さく片手の手の平に乗っけられるぐらいの小ささだった。

髪は赤茶色で瞳は緑、肌は透き通るような白、顔は人形をそのまま生き物にしたかのようなかわいらしかった。
じーと見ているとむこうもじーとこっちを見てきた。
そして「きみ、ひょっとしてぼくのこと見えるの」と聞いてきた。

わたしは黙ってうなずいた。
その子の名前は「メロン」といった。
木の妖精らしい。「あのこの芽はカキの木なんですけど」と聞くと、

「いいのこれはカキでもぼくはメロンなの」と言って頬をふくらませた。

木の妖精というのは不思議なもので、こんな子供みたいなルックスで年は3000才らしい。木の妖精は住み着いた木がなくなったらまた新しい木の芽を見つけて引越して住居とする。それを繰り返しているらしかった。そしてメロンはこのカキの芽を見つけて引越してきたみたいだ。

「わかった。メロンは最初、メロンの木にいたんでしょ」
「ちがうよ。メロンに木はないよ。ぼくが最初にいたのは、くすの木だよ」
ますますわけがわからなくなった。
「ほら、いるでしょ太平記に出てくるお殿様で」「あー楠木マサシゲ!」「そうそう、その、くすの木」
「えっ、楠木マサシゲと知り合いなの?」
「いや、全然。ぼくの木は全然時代も違うしはえてる所も違ってた」
「じゃあ何で楠木マサシゲのことを知ってるの?」
「ぼくは読書が趣味なの。あと暇つぶしにテレビ見たりするんだ」
本ってどこで調達してくるの?
「そりゃ本屋さんに行ってそっと持ち帰るんだよ。それで読み終わったら、そっと元の場所に戻すんだ。ぼく普通の人間には絶対見えないから平気なんだよ。」

「あと人の家にこっそり入ってテレビを見たりもするんだ。テレビってすごいね。ありゃ大発明だよ。3000年前は考えられなかった」

だめじゃん。それは万引きじゃん。それに勝手に人の家に入るのは不法侵入だよ。捕まっちゃうよ。

「えっ、でも誰もぼくのこと見えてないんだし、それに木の妖精に人間の法律は適用できるの?」

木の妖精に人間の法律を適用できるわけがない。わたしは口をつぐんだ。木の妖精はすべての木に宿ってるわけではないらしく、お互いに警戒心が強いせいかなかなか仲間に巡り会う機会も少ないようだ。人間は基本的に木の妖精を見ることすらできず他の動物はたまに見えているらしいものもいるが会話をすることができない。

「そう、さびしいね」と、わたしが聞くと

「うん」と、メロンは下をむきながら答えた。

それからというもの、わたしとメロンは毎日いっしょにおしゃべりしたり、テレビを見たりしてすごした。
幸いわたしは一人暮らしだったのでよかったけど、はたから見たら一人ごとを言って笑っているへんな人に写るだろう。

メロンには人間の常識があまり通じない面もある。例えば昼に起きて、夜に寝るとか、あまり相手が答えにくいことは質問しないとか。メロンはおかまいなしに夜寝てる時に話しかけてきたりするのだ。だからたまにケンカになるような時もあったけど基本的にメロンとわたしは仲良しになった。

それは奇妙な友情だった。人間同志だったら絶対にうまれない不思議な友情なのだ。
わたしはメロンには普段話せないような深刻な悩みとかも話せるようになっていった。

わたしは最近ある友人を裏切ってしまった。
友人の恋人をからかい半分で奪ってしまった。
その友人はそれを知るとショックで街をふらふらと歩き、
途中でクルマにひかれてあっけなく死んでしまった。
それを思い出して涙が出てきた。
自分が許せなくてたまらなくなった。
ふと見るとメロンの幼い顔があった。

メロンは人間にはない、寛容な雰囲気があった。
メロンと話しているといかに不思議と自分が許せる気がしてきたのだ。
わたしの悩みなんか3000年も木々と過ごしてきたメロンから見ると小さなことなのかな。

ある日のことだった。
メロンとわたしはいつものように家でおしゃべりしていた。
するとメロンがふと窓の外に目をむけてこう言ったのだ。

「残念だけど、これでさようなら」

わたしは何を言っているのかよくわからなかったから、窓の外に目を向けてみたら、なんとカラスがカキの種をほじくり返していた。

「このやろー!」

わたしはそう思い、ほうきを持ってカラスを追い払おうとしたらメロンが大きな声で

「ダメー!!」

と叫んだ。

「それが自然の摂理だから」

わたしは混乱してほうきを握りしめたままワナワナふるえた。

「それが自然の摂理だから」

とメロンはもう一回小さな声で繰り返した。
そうしてるうちにカキの種はすっかりと掘り起こされてしまった。

「次はどこの木が住み処になるかわからないの」とメロンが言った
それは自然にが決めることで自分では選べないみたいなんだ。
自分では選べないんだ。

「バイバイ」

と言ってメロンは手を差し延べてきた。わたしは

「別れたくないよ」

と言いながらギュッと手を握ると、メロンの体はだんだん透明になって消えてしまった。



みどりのちょうちょう 後編

みどりのちょうちょう



2Fはアトリエだった。
中には大きな木の絵がかざってあった。
だけどまだ未完成みたいで上の葉っぱの部分がかけていた。

ここにも一人いた。
彼女は下から上がってくる「水」をひとつひとつ絵筆でなぞって絵の具に変えていた。
それは不思議な感じだった。彼女が「茶」「青」といいながら「水」を絵筆でなぞるだけで「水」はたちまち絵の具になってしまうのだ。

「こんにちは」と声をかけると彼女は少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んで「こんにちは」と返してきた。
彼女はすぐにテーブルの上をかたづけて紅茶をいれてくれた。これも絵の具かなと一瞬思ったけど、近くで見るとちゃんと紅茶だった。

紅茶を飲みながら彼女とお話した。
何でもお客が来たのは30年ぶりみたいだった。
お客がきたのがよっぽど嬉しかったのか彼女のおしゃべりはとどまることを知らなかった。

いろいろなことを聞かれた。
どこから来たのかとか、
普段何してるのとかとか、
そういったことからはじまり、彼女はいるの?といったようなオバサン的な質問もうけた。
逆に彼女のこともたくさん聞けた。

彼女の名前はモリノミキ。
愛称はミキティー。
年はなんと1365歳(!)だそうだ。
見た目は人間ぽいけど実は人間ではなくて木の精霊ということなのだ。

ミキティーの仕事は下の根っこから来る「水」と上の枝・葉からくる「日光」「二酸化炭素」などを集めて健康的な木を育てることらしかった。
育て方は「水」や「日光」などを彼女の絵筆でとかして絵の具にし、それを使ってキャンパスに木の絵を描くということのようだ。

「緑がないのよね」

とミキティーがつぶやいた。

「緑がないの・・・」

とまたつぶやいた。
それから紅茶を飲みながら何かにとりつかれたように

「みどりみどり・・・」

とつぶやいていた。
しばらくしてもそのような様子だったからわたしは、

「紅茶ごちそうさまでした」

といって席を立とうと思ったらミキティーがわたしの頭の上を見て「あっ」と声を出した。
何かなと思って頭に手をやろうとすると「ダメっ!」とミキティーが大声で叫んだのでわたしの手はビクッと止まった。
そしてミキティーはまるでしかりすぎた子どもに対して申し訳なく優しくさとすように

「ごめんね。ちょっとたのみたいんだけど、そのまま上の階まで行ってくれないかしら?決して頭の上はさわっちゃだめよ。」と言った。

わたしは「はい」と言って素直に上の階に行くことにした。

「枝・葉」の階についた瞬間わたしはくにゃくにゃとへたりこんだ。
何しろここは本当に大きな木の上のほうにある大きな枝そのものだったからだ。
そうとうの高さで下の地上がまる見えだった。わたしは腰をかがめて前に進めない状態になった。はいつくばりながら後ろに下がろうとすると

「待ちたまえ」

と、声が聞こえてきた。
前を見ると緑のタキシードを着た細身の男性が立っていた。
髪は金色でさらさらして、顔はアイドルのような端整な顔立ちだった。
わたしは腰をかがめたまま顔を赤らめた。

「どこ行ってたんだい。こっちにおいで。」

と、その男性は言った
わたしはまた顔を赤らめた。
そうしたら私の頭の上からひらひらと飛んで行くものがあった。
あの葉っぱの蝶だった。

葉っぱの蝶はタキシードの人のまわりをぐるぐるとまわって飛んだ。
すると目の前の枝は葉っぱをつけ始めたのだ。
「あっ」と思ったらどんどん葉っぱが広がっていき一面緑になった。

わたしはびっくりとして、手足をあたふたさせたら、すべってしまって枝から落っこちてしまった。

あっけないほど体はどんどん下のほうに落ちていった。

「ああ、もう死ぬのか」とおもった。

すると、緑の葉っぱの蝶が大きくなってわたしを受け止めてくれたのだ。
よく見ると葉っぱがたくさん集まっていて大きくなっていた。

上に戻ると葉っぱたちは、もとの枝に帰っていった。
またわたしが足をぐらつかせるとタキシードの彼がぎゅっとわたしの手を握って助けおこしてくれた。

「下に行きましょう。ミキがもう絵を完成させていることでしょう。」

そう言ってわたしの手を握りながらエレベーターのほうに向かっていった。
下におりると確かにミキティーは絵を完成させていた。
緑がいっぱいの元気な木がそこには描かれていた。

それからわたしはミキティーとタキシードの彼とで一緒に紅茶を飲みながらおしゃべりをした。タキシードの彼の名前は「ハヤシリンタロウ」。
ミキティーの彼氏らしい。少し残念。
リンタロウとミキティーはもう1000年以上ずっとこの木および、ここらへん一帯の林を守り続けているらしかった。
それと下の根っこの彼はミキティーの弟みたいで、ぶっきらぼうで愛想が悪いがミキティーの言うことは素直に従うようだ。
林はこの3人で守っている。

しばらくしたら、あの葉っぱの蝶がやってきてひらひらっとミキティーの絵の上にとまった。ひょいと絵のほうをのぞきこんでみると、木の下のほうに誰かが描かれていた。

それはわたしだった。

・・・っと思ったらわたしは外に出ていた。目の前には大きな立派な木がある。
まわりこんでみたけど、どこにも穴がなかった。
わたしはぺしぺしと木を数回たたいてから、もと来た道をもどることにした。

みどりのちょうちょう 前編

葉っぱのちょうちょ


ある時、わたしは2枚の葉っぱを発見した。発見したというとおおげさかもしれない。葉っぱなんてどこにでも落ちているだから。わたしも公園で落ちてた葉っぱをひょいと2枚ひろっただけなのだ。

それは青々とした、たぶんまだ落ちてまもない葉っぱだった。その葉っぱを2枚重ねて「ちょうちょうだ」といって上にかざしてみた。するとミラクルがおきたのだ。

その2枚の葉っぱは本当に蝶になった。
いや、正確にいうと葉っぱが蝶みたく飛んでいった。
わはしは本当にびっくりして出てるかどうかわからないくらい小さな声で「あああ・・・」と声をだした。人間、ほんとうにびっくりすると大きな声は出せないんだなと思った。

葉っぱの蝶はしばらくわたしのまわりをひらひら飛んでいたが、やがてわたしから遠ざかっていった。その様子をぼーっと見ていたわたしだったが、どんどん遠ざかる葉っぱの蝶を見てはっと我に帰り、大あわてで追いかけていったのであった。

葉っぱの蝶はさいわいゆっくりと飛んでいたのですぐに追いつくことができた。
公園のわきにある川沿いにそって飛んでいたので、わたしも一緒に歩いていった。
途中でサイクリングしている親子やひなたぼっこをしているおじいちゃんに出会った。
だけど誰もこの変な葉っぱの蝶のことを気にもとめないようだった。

(見えてないの?)

と思った。そして、

(ひょっとして見えているのはわたしだけ?)

とも思った。

葉っぱの蝶はぐんぐん進んでいき、やがて森の中に入っていった。
中はひんやりとしてマイナスイオンがわたしの肌に染み込んでいった。

ある一本の木が見えてきた。
それは大木と呼ぶにふさわしい立派な木だったが、なぜか葉っぱがはえていなかった。
近くに行くと、人が一人はいれるくらいの大きな穴があり、葉っぱの蝶が入っていったのでわたしも中に入ることにした。

中に入るとそこはエレベーターだった。B1Fから3Fまでで、B1Fが「根っこ」、1Fが「入り口」、2Fが「幹」、3Fが「枝葉」と書かれていた。

いつの間にか葉っぱの蝶はいなくなっていた。
まわりを見渡してもどこにもいなかった。
戻ろうかなと考えた。でもこのまま帰るのもなんとなく癪だから、わたしはB1Fにまず行くことにした。

B1Fに降りるとそこは工場だった。
ベルトコンベアの上に何かお皿のようなものが規則正しく並べてあって、その上に「水」と書かれている箱がのせられていて、ゆっくりとした動きで回っていた。それはまるで回転寿司のようだった。

係員が一人だけいた。
白い野球帽を深めにかぶっていて、顔はよく見えなかったが、ベルトコンベアの様子を何するでもなくただ眺めているみたいだった。

「何しているんですか?」

と聞くと

「見てる」

と一言でそっけなく返された。
ずーっと見てたけど、ずーっと同じだったから、ちょっとつまらなくなったから、

「ずーっと同じでつまらなくないの?」

と聞くと、

「つまらなくない。ぼくはこの木のために役立っているから」

とちょっと胸をはり気味でそう言っていた。
役立っているというところがちょっと強めのアクセントだった。
そういうものなのかなとちょっと思った。
どう見てもつまらない仕事っぽいけど。

ベルトコンベアの先を見ると「2Fへ」と書かれた看板があり、その先は見えなくなっていた。ここに居ても何もなさそうだから、わたしは2Fに行くことにした。(つづく)
プロフィール

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

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