子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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夢のかがり火

夢のかがり火




これは人類がはじめて「火」を手にいれたときのお話。
ここにある家族がいた。
この家族のなかのケンポは一族の長男だった。
年は大体10歳くらいで家族のなかではおもに小動物を追いかけて狩をする係だった。
外は晴れているように見えた。
ケンポは狩に出かけることにした。

ケンポ一家が住んでいる洞窟から出ると野うさぎがひょこひょこと逃げた。
ケンポは追いかけた、うさぎは思ったよりもはやく機敏に動きケンポを面食らわした。
つかまえられると思ったら手からするりとぬけて逃げ出すことが何度もあった。
夢中で追いかけているうちに晴れていた天気が曇りに変わっていた。
「しまった洞窟から離れすぎた」と思った、次の瞬間にケンポの心臓は止まりそうになった。

目の前にヒョウがいたのだ。
今にも自分に飛びかかってきそうに毛を逆立てていた。

ケンポは怖くて動けなくなった。
本当に怖いと動けなくなるんだなと思った。
そしてもう死ぬのかなと思った。

ヒョウがまさに飛びかかろうと後ろ足に力をこめた。
その瞬間に奇跡がおきた。

奇跡は天から降ってきた。
カミナリが落ちてきてケンポとヒョウの近くにある木に直撃したのだ。

バリバリバリと木を引き裂く音がした後に木は炎に包まれた。

ケンポはヒョウのことを忘れて炎に目が釘づけになった。
そして燃え盛る木の前に歩いていき、ひとつ燃えている枝を手にとってみた。
ボウボウと燃えるその枝はそれ自体に自然の偉大なるエネルギーを感じた。
そのエネルギーを手にしてケンポは自分自身も強くなったかのような気分になった。

ケンポは燃える枝をヒョウのほうにかざしてみた。
ヒョウはビクッとして身をかがめた。

怖がっている、ケンポは思った。
そしてゆっくりと枝をヒョウのほうに向けながら歩みよった。
するとヒョウは「ウオーン」と声を出してからあわてて逃げていった。

ケンポは興奮した。
これはオレのものだと思った。
この枝があればもう家族も凶暴な動物に襲われることもない。
これがあればもう何も怖いものがなくなる。

ケンポはこの枝によってずっと幸せに暮らす生活を想像した。
これで狩が楽になるから食べ物にも困ることもない。
夜も安心して熟睡できる。
いい事ばかりを想像できた。

ケンポは燃えている枝を手に取れるだけ取って大急ぎで住みかの洞窟に戻ることにした。
家族のみんなはどんなに喜ぶことか、はやくこの燃えている枝を見せたい。

ケンポは全速力で走った。
走っている間、顔にあたる風が気持ちよかった。
そして洞窟のそばまでたどりついた。

「ウエーーーイ」

ケンポは大声で家族を呼んだ。
これがあればみんなが幸せにくらすことができる。

「ウエーーーイ」

もう1回叫んだ。
すると家族が気づいたのか顔を出してきた。
ケンポは喜んだ
のもつかの間だった。

手に激痛が走った。

「あちっ」

三本の枝がケンポの手のほうまで燃えてきたのだ。
ケンポは反射的に枝を落とした。
三本の枝は落ちるやいなやあっという間に燃え尽きて火が消えてしまった。

ケンポは息をふきかけたりして火をおこそうとしたが、ダメだった。
家族のみんなは何のこっちゃという顔をしてケンポを見ていた。
ケンポは天をあおいだ。
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焼かれるアワビの詩

アワビ



焼かれる気持ちを考えてごらん。
きみにもわかるかな。
このどうしようもできない気持ち。
どうあがいても助からない気持ち。

他人ごとだと思わないで。
これはきみのことでもあるんだ。
きみだって焼かれているんだ。
せまいせまい世界のなかできみはジリジリジリジリと焼かれているんだ。

ぼくはこのせまい世界のなかで必死になって、
それこそ本当に必死になって、
生きたい生きたいようと思って、
体をウネウネウネウネさせるんだ。

ウネウネさせてどうにかなるわけでもないのに、
ウネウネさせるんだ。

がんばればがんばるほど、
炎は強くなり、
いっそうぼくを焼き焦がす。

炎があついと思えば、
もっとあつくなり、
ここから逃げたいと思えば、
よけいに逃げられなくなる。
まるで炎はぼくの考えていることを、
全部知っているみたいだ。

ああ、いじわる。
炎はなんていじわるなんだろう。
いじわるなのは、
いじわるなのは、

なんて、ぼくにそっくりなんだろう。

そっくり?
ぼくにそっくりのものが、
ぼくを焼き焦がしているということか?
これはどういうことだろう。



焼かれる気持ちがわかるかな。
けっして他人ごとだとは思わないで。
これはぼくのことだけれども、
きみのことでもあるのだから。

ああ、今日も焼かれていく。
炎がぼくを焼き焦がしていく。
そしてこのせまいせまい世界のなかで、
ウネウネウネウネとがんばって生きているんだ。

アワビとウニ

ラッコ2






ラッコの被害は甚大だった。
ここは北の地方の小さな村、村人の9割は漁師の村。
村人は困り果てていた。

この村ではアワビとウニをとって生活していた。
アワビとウニは村の宝だった。
ラッコはそのアワビとウニを食いまくるのである。

困り果てた村人はラッコをどうしようか夜な夜な集まって会議した。
どうしようかと思ってもどうしようもなかった。
なぜならラッコは絶滅危惧種だからだ、絶滅危惧種の動物を人間が勝手にどうこうしてはいけない。
だから、どうしようもなく、仕方ないからグチの言い合いになっていた。

ある日、この村に住む娘、リョウコは、この現状をどうにかしなきゃいけないと思い
ラッコと対話をすることにしたのだった。

リョウコは港にむかった。
港は枯れ木のように活気を失っていた。
村人は誰もいなかった。

停泊している無人船の横に浮かび上がる動物を見つけた。
ラッコだ。リョウコは駆け寄って近づいた。

「もしもしあなたはラッコですね。」

我ながら何てことを聞いているんだ、とリョウコは思った。第一ラッコが人間の言葉を理解できるとは思えない。しかしラッコは口を開いた。

「んだ、オラはラッコだが、お前さんは何だ。」

ラッコが話したことに度肝を抜かれたリョウコは驚いてその場で腰をぬかしそうになったが、今わたしがへこたれたら村がつぶれるかもしれんと思いふんばった。

まず、何を話せばいいか迷った。
あまり難しいことはラッコにはわからないかもしれないと思った。
だからストレートに頼むことにした。

「もうアワビやウニを食べないでください。」

そう言ったらラッコはきょとんとした顔でこう言った。

「アワビとウニって何だ?」

ああ、やっぱりわからないか、そう思いリョウコは懇切丁寧にこれがアワビでこれがウニだと説明した。それだけで結構時間がかかった。ラッコはところどころで首をふりうなずいて、「なるほど、なるほど」と相槌をうった。それでようやくアワビとウニがどういうものなのか理解したところで、

「やだね」

と言った。リョウコは絶望した。ラッコにたいしてあんなに丁寧に説明した人は今までの歴史上いなかっただろうに、ラッコときたら「やだね」の三文字でことわったのだ。

リョウコがイラだっているのを見たラッコはちょっと申し訳なさそうな顔をして「だって」と続けた。

「だって、海にあるもの食べて何が悪いんだ。食べなきゃオラは死んでしまうぞ。お前らだって何か食べて生きているんだろう。第一、海にあるものはお前らのものじゃないだろうが。」

死んじゃうという言葉を聞いて急にラッコのことがかわいそうに思えてきた。
リョウコはその後もラッコに他のものではダメなのかとか話したが思うように話が決まらなかった。結局そのまま家に帰ろうかなと思った、その時だった。

「殺しちまえばいいんだ。」

後ろを振り返ると村の男たちが三人いた。
手にはクワやらスキを持って殺気だっていた。

「殺しちまえばいいんだ。」

男たちはもう1回言って、ラッコのほうに向かっていった。

その時リョウコは反射的に海に飛び込んだ。
そしてラッコをお腹に抱えて背泳ぎで逃げた。
なんだか知らないけど、リョウコは母性が目覚めるのを感じた。

男たちは追ってはこなかった。
リョウコは背泳ぎしながら男たちが遠ざかっていくのをながめていた。
リョウコのお腹の上でラッコはウニを食べていた。

ガラスの瞳

ガラスの瞳





人はなぜ生れてくるのだろうか?そんなことを考えたことがありますか?私の考えた結論では「人は誰かに見てもらいたいから生まれてくる」です。自分のことを振り返ると常に誰かに見てもらいたい衝動があるような気がしてならないからです。

申し遅れました。私はこの朝日川動物園の園長をしております益田と申します。そうです、見てもらいたいんです、だからこうやって皆様の前にしゃしゃり出てまたくだらない話を披露しているのでございます。皆様はるばるお越しいただきありがとうございます。さて、ここで皆様に質問がございます。

動物も誰かに見てもらいたいって考えてると思いますか?

どうでしょうか。
少し私の昔話を聞いてください。
今となっては・・・皆様のおかげで、この朝日川動物園は日本でも有数の乗客数を誇る動物園となりました。

しかし、この園もかつては閉園になりそうになったことがあったのです。
お客様がまったく入らなかった時期があったんです。
それは、この園をつくってまもなくことでした。

ご存知のとおり、ここ朝日川は北海地方の奥地にありますでしょう。
立地が悪かったのです。
そして、何より園の特徴がまるっきりなかった、他の園と全然大差がなかったのです。
だから、わざわざこんな奥地にまで見に来てくれるお客様はいなかったのです。

そこで私は悩みました。
なんとかしてお客様が来てもらえないか。
そして、ふとラッコのほうを見てみると、
なんと悲しそうな目をしているような気がしたのです。
そうか、お前もお客様に来てもらいたいんだね。


動物も誰かに見てもらいたいのか?


ふと、そんなことを考えました。
そこでひらめいたんです。
ぴんっと、ひらめいたんです。

動物のためのお立ち台をつくろう、と。

それぞれの動物たちをよりお客様の身近でみてもらえるように、
お客様の通行路にひょっこり動物たちのお立ち台をつくったんです。
安全面はご安心を、お立ち台は絶対われない強化ガラスではりめぐらしてあります。

それぞれの動物はそれぞれの動物の檻から通れる通路をつくりまして、そこから地下のトンネルを抜けてお立ち台まで行きます。これが行くかなと心配してたのですが、大成功で動物たちはこぞって行くようになったのです。
水のなかにいる動物はパイプを通路のうえに通しましてそこからお客様に見えるようにしました。これも大成功でした。

これをやるかやらないかで園の職員の間でもめました、これを作るのに莫大な費用がかかるからです。しかし、私はやる決断をしました。

結果、これが大きな話題になり、お客様がどんどん入るようになりました。
そして園は収益を5倍に増やし今日にいたるわけです。

私が驚いたのは動物たちの顔です。
そのお立ち台を作ってからいきいきしているように見えるのです。
動物にも顔があるのだなと思いました。

とくにクマなどはそれぞれが独自のポーズをとって誰が一番お客様にアピールできているのかを競い合うようになってきました。それがまたおもしろいんです。

動物も見てもらえるとうれしいんですね。
やっぱり誰にも見てもらえないとさびしいものです。

というわけで私の結論は「動物も誰かに見てもらいたいと思っている」です。
おっと、無駄話の時間が長くなってしまいました。
それでは、皆様、朝日川動物園をごゆっくりとお楽しみください。
本日はありがとうございました。
プロフィール

子牛

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

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