子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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宇宙のはじまり

星の子





わたしはカラスです。
ある時少年に出会いました。
少年は今にも倒れそうで痩せ細っていたのです。
そして、わたしたちカラスのようにゴミ捨て場をあさっていました。

わたしは「どうかしたんですか、お母さんはどこにいるのですか?」と聞きました。
少年は「お母さんはいない」と答えました。

わたしが不憫に思っていると、少年は「ねぇ、どこかにつれてってよ。」と言ってわたしの目を、じっと見つめてきました。
わたしは少年のあまりにも悲しく澄んだ瞳に吸い込まれそうな感覚におそわれました。

次の瞬間、わたしは少年を乗せて羽ばたいていました。
わたしの体は大きくなり、色も金色に変わりました。
そして何と宇宙空間を飛んでいたのです。

わたしはびっくりしました。
しかし、その驚きもすぐに宇宙の美しさの前にかき消されました。
少年は指差して「あれは地球だよ。」と言いました。
青くきれいな球体。
あれが地球。
今までわたしが住んでいた所とは思えない美しさに息をのみました。

どこらへんが自分の住んでいた地域なのだろうと思いました。
宇宙から見た地球からはそんなことは一切わかりませんでした。
わたしのゴミ捨て場なんてもちろんわかりません。
そんなことは小さすぎるのでしょう。

まわりを見渡してみました。
たくさんの星がびっしりと輝いていました。
それはたくさんという表現では足りないくらいの数でした。
わたしが夜に見上げていた星の数よりもっともっとたくさんの数です。

黒い宇宙空間がまた輝く星を一層美しく演出していました。
なかには赤い星や緑の星もあります。

「宇宙にはじまりはあると思う?」

少年が急に聞いてきました。
わたしは「わからない」と答えると、

「はじまりがあるかどうか見に行こうよ」と言いました。

しかし、どうやって?

「めちゃくちゃ飛びまくればきっと、はじまりの部分にたどりつくよ。」

少年は自信満々に言いましたので、わたしは飛びまくることにしました。
だけど飛んでも飛んでも、はじまりの部分なんか見えません。

「はじまりは見えないね。」

宇宙はいつまで続いていました。
そもそも、はじまりがあるものには終わりがある。
宇宙とはそういうものではないのかもしれないなと思いました。

「もういい。」少年は言いました。

「ぼくはどこかに行きたかっただけなんだ。でもどこに行っても同じなのはわかってた。わかってたけど、どこかに行きたくてしょうがなかったんだ。それがわかったからもう帰るよ。」

帰ると言っても、どこに地球があったんだっけとわたしが迷っていると、
ものすごい勢いで引っ張られる感覚におそわれました。
黒い渦巻きがこちらに近づいてきたのです。
いやこちらが渦巻きに近づいているのです。
そして、あっという間に渦巻きの中に入ってしまいました。

気がつくと、いつもと変わらないゴミ捨て場の風景でした。
そしてわたしはカラスに戻っていました。
夢かと思って前を見ると少年が歩いてきました。
わたしが何か話しかけようと思ったら、

「今日はありがとう。楽しかったよ。」

そう言って、後ろを振り返って走っていってしまいました。
少年の走り方が力強く見えました。
その姿があまりにもかっこよく見えたので、
わたしも力強く飛びたいと思いました。
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言葉は思い出

カラスとあたし




帰り道、ふと見るとカラスが道に倒れていたの。
体が小さかった。
子どもなのかなと思った。
でも、あたしには関係ないなと思って見てみないふりをして通りすぎようとして、何歩か歩いたけど、気になってしかたなくなったの。

・・・・・。
・・・・・・・。

しばらく立ち止まって考えたの。
それからなんか衝動的にこう思った。

つれて帰ろう。

それから、急いで後ろ振り返って、子どものカラスを抱えて家に持って帰ったの。
左足と左羽をケガしてるみたいだった。
羽はどうしたらいいのかわからなかったから、左足だけ包帯を巻いてあげた。

カラスって何食べるんだろうって悩んだ。
でも、ゴミとか食べてるからたぶん、あたしと同じの食べるだろうと思ってチーズパンをちぎって食べやすいようにあげたら、パクパク食べた。

うれしかった。
今までペットほしいなと思ってたけど、飼ったことなかったから。
一人暮らしだったし、あたしがあげたものを食べてくれる存在がいてくれるってうれしいと思った。
あたしは、この子を「かな子」と呼ぶことにした。
オスなのかメスなのかわからなかったけど、「かな子」と呼ぶことにした。

それから、一月たって、「かな子、ごはんだよ。」と呼ぶと、あたしのほうに来るようになったの。犬みたいに言葉がわかるみたい、かわいい。

あたしは、その時ふと九官鳥っていう鳥のこと思い出したの。
ひょっとしたら言葉を話せるんじゃ・・・。

「かな子、いただきます。いってごらん。」あたしは何度かかな子に言って聞かせてみせたの。

「・・・・。」

だめかな、やっぱり無理だよね。

「いただきます。」

あっ!!

しゃべった、しゃべった、しゃべった。
うれしい、うれしい、うれしい。

あたしはかな子に夢中になったの。

それからまた一月、かな子のケガも完全に回復してもう飛べるようになったの。
あたしは、かな子を外に出すことにしたの。
本当はどっか行ってもう二度と、あたしの家にこなくなるかもと思ってどうしようか迷ったの。

ずっと家に閉じ込めてひとりじめにしたい。

そうも考えたの。でも、それはよくないなと思いなおした。
かな子にはかな子の人生(カラス生)がある。
それを尊重しなきゃね。
だから外に出すことにしたの。

「バイバイ」そうあたしが言うと、
「バイバイ」かな子もそう言って飛び立っていったの。

あたしは涙がでた。
もう帰ってこないこないんだな。

あたしは涙を流しながら、仕事に行くために、歩いて、バスに乗って、電車にのって・・・
それから先は覚えてない。

それであたしが、仕事終わって家に帰って、かな子のこと考えた。
もう、かな子はいない。
まだ涙を流してて。
窓のほうを、ふと見て、ベランダの窓を開けたら、
いたの、かな子が。

「ただいま」

かな子がそう言ったの。

「おかえり」

あたしは、かな子を抱きしめたの。

一枚の葉

木枯らし男





主婦が歩いてきた。
手にはたくさんの買い物袋を持ち、ちらちらとその買い物袋を見ていた。
どうやら子ども連れのようだが、子どもよりかはむしろ今日の買い物の中身のほうを気にしている様子で、子どもが後ろでもたついていてもさして気に留める様子はなかった。

男は空を見上げた。
鮮明な青がこれから訪れる生活の厳しさを予感させた。
その中を細い雲がちりぢりと流れていった。

公園は多くの人間の場である。
様々な人間が訪れ、思いにふけり、立ち止まる。
あるものは足早に去り、
あるものはそこでしばらく過ごす。

この男は、今日この公園にやってきた。
そして公園でしばらく過ごすことにした。
いや過ごすことにしたというより、他に居場所がないといったほうがいいのだろうか。

この男はかつて大富豪だった。別に働かなくても一生食べるものには困らないほどの大金持ちだった。しかし株の投資事業と不動産事業に手を出し失敗し、今では借金まみれになり破産したのだった。

かつての大富豪も今になっては明日食べていくこともできるかどうかわからなくってしまった。誰も窮地に手をさしのべなかった。昔は常時20人ほどいた取り巻きたちも今は煙のようにどこかに消えてしまった。そして残ったのは借金取りという種類の人間たちだけだった。

人間の価値っていうのは金なのかな。
男はそう思った。

金がある時はみんなが俺に対して優しかった。
金がない今、みんな俺には見向きもしない。

風が吹いてきた。
冷たかった。
風が吹いていった先を見るとカラスが残飯をあさりに群がっていた。

身震いがした。
それは寒さだけのせいではなかった。

寝よう。
何もかも忘れて寝よう。
そう思い、目をつむった。
すると誰かが背中をたたいた。

さっきの主婦の子どもだった。

「おじさん何してるの?」

子どもは何の屈託もない笑顔を見せてそういった。

「おじさん、これあげる。」

それは、一枚の葉だった。
真っ赤に彩られた一枚の枯葉だった。

男は真っ赤な枯葉をながめた。
ながめていると不思議と心が温かくなることを感じた。

木は冬になると多くの葉を落とすけど来年はまた多くの葉をつけるだろう。
そんなことを考えたら少し元気になってきた。

主婦が子どものもとにやってきて、迷惑そうな顔をして、子どもの腕をつかみ足早にどこかに行った。

男は子どもの後ろ姿が見えなくなるまで見続けた。
見えなくなるともう一度枯葉をながめた。

まだまだだ。
まだまだこれからだ。

男は枯葉をながめながらそう思い立ち上がった。

アリとキリギリス外伝

あり、きりぎりす





さて、皆様がご存知のイソップ物語のひとつ『アリとキリギリス』ですが、まぁご存知でない方のために、この話の粗筋を簡単に説明しますと、

あるところに熱心に働くアリと年中歌を歌って遊んでいるキリギリスがいました。
アリはせっせと働いて、食べ物をたくわえていましたが、
キリギリスは歌ってばかりで働かなかったために、食べ物を蓄えていませんでした。
そして冬が来て、食べ物がなくなり、キリギリスは飢え死にしそうになりました。
アリはそのキリギリスの様子を見て哀れんで食べ物を分けてあげました。

本当におおまかに言えばこんな粗筋です。
しかし、最後の部分の食べ物を分けてあげる話、これは日本だけの話ということをご存知でしょうか?本来のイソップ物語の中では、アリはキリギリスを「働いてなかったからそうなったんだ。歌があきたんなら、踊ったらどうだ?」と言って、見殺しにするのです。


風が寒くなってきた。
この風がだんだんとぼくの体温を奪っていく。
風は奪うだなんて思ってないだろうけど。
ぼくはだんだん冷たくなっていく。
だけど風は風の仕事をしているだけだろうか。
そもそも仕事って何だろうな。
食べ物を探すのが仕事だろうか。
だとしたら風は仕事をしていないのだろうか。
仕事って何なんだろうな。

ああ、ぼくは死ぬのだな。
キリギリスは思いました。
ぼくの歌は何の役にもたたなかったんだろうか。
ぼくの一生はなんだったんだろう?


これでよかったんだろうか。
アリは思いました。
キリギリスの歌は確かになんの利益にならなかった。
歌なんか歌ったって食べ物がまいこんでくるわけでもない。
しかしキリギリスの歌に魅力を感じていたのは確かだ。

アリはしばらく考え込みました。

何か心にチクチクするものを感じるな。
確かに、キリギリスはうちらから見れば怠け者の類だろう。
しかし、それはあくまで、うちらの狭い考えで見るとという話ではないだろうか。
キリギリスが歌を歌うことはそれはそれで意味があることだったのではないだろうか。
そもそも見殺しにすることと、歌を歌うことはどちらが駄目なことなんだろうか。


助けよう。
アリはキリギリスがいた場所に戻ることにしました。
しかし、もうすでに遅かったのです。
そこにはキリギリスの体だけが横たわっていました。

風がそっと吹いてきました。
それは冷たい冬そのものでした。
アリは少しの時間そこに立ち止まり、
独り言をぼそぼそと言った後、
風に導かれるようにその場を去っていきました。
プロフィール

子牛

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

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