子牛が日々考えていること(妄想)を紹介します。創作童話やポエムの空間。

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エスカルゴ

エスカルゴ



散歩することが日課だった。
日課というよりかはそれしかすることがないと言うべきか。
腹が減っていたが食べれるものがあまりなく
しょうがないから外に出て気を紛らわすのだ。
男は失業していた。

その日は雨がビー玉のように
バチリバチリと降ってくる空だった。
ビニール傘がいかにも破れそうな音を立てていた。

ふと足元の歩道の白線をみるとかたつむりが二匹いた。
二匹はかたつむりだからそんなことはありえないだろうが
何か喜びあっているように見えた。
まるでひさびさの再会を喜ぶ生き別れた親友のよう
だったけど
男はふと

「食べたらおいしんじゃない」

と思い家に持ち帰ることにした。
何と言ってもエスカルゴというフランス料理があるくらいだ。
どうやって食うか。
やはり焼いて食うか。
醤油とバターにつけて焼けばそれなりにおいしそうだ。
まてよ先に味付けすると塩分で溶けてしまうのだろうか。
だとしたらある程度焼いてからじゃないとダメかな。

かたつむりを指でつまむと
クネリクネリと触覚を動かした。
何か命乞いをしているのかなとは
ちょっとは考えてみた。
しかし本当に空腹な男には情けなど持ち合わせていけないのである。
二匹を左手で持ちながらフライパンをせわしなく取り出した。

灼熱地獄だ。
あるいは火炎地獄だ。
きっとこのフライパンの上で身を焼くというのはそういうことに違いない。

地獄なんてあるかわからないが
今このかたつむりにとって俺は地獄の鬼そのものだろう。
人間にとって
いやすべてのものは立場によって心が変わるものだ。
人間の俺はかたつむりを焼くことになんの罪だろうか。
地獄の鬼にとって人間を焼くことなんて
なんの感情もなくやってることなんだろう。
地獄の鬼としてやることをやってるだけなのだ。
腹がへったら人間以外の動物や植物を食べる。
それは人間のやることだ。

ふと体が熱くなった。
気がつくと目の前にグツグツと煮えたぎる熱湯
いや、これは血の池だ。
大きな釜があってそこに満ちていた。
溶けそうな皮膚をベロベロしながら
人間たちがたくさんもがいていた。
呻いていた。
沸騰する血の池だ。

それらを見て俺は何も感じない。
俺は何も怖ろしくない。
何も後ろめたいことはない。
なぜなら

俺は鬼だからだ。

はっと我にかえるとそこはいつもどおりの我が家だった。
片手には二匹のかたつむりがあった。
よし食おう。
そう思った瞬間。
かたつむりには寄生虫があることをふと思い出した。

「ばっちい」

俺は窓から二匹を放り投げて手を洗うことにした。
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美女と野獣と王子探し

美女と野獣と王子探し



「悪い魔女に魔法をかけられた」

そう言って突然野獣があたしのアパートに転がり込んできた。
どうしていいのかわからずおどおどしていると
その野獣は勝手に上がりこんで「お茶」と言って座り込んだ。
わたしは言われるままにお茶をいれると
おいしそうにグビグビと飲み干して

「熱い」

と言った。
わたしが眉間にしわをよせると

「いや、おいしかった」

と言いなおして魔女に魔法をかけられた話をし始めた。
どうやらこの野獣はもともと王子だったみたいだった。
そして魔女から隠れるためにここにしばらくいさせてくれと言う。
わたしは追い出そうと思ったが
ひょっとしたら本当に王子様だったらどうしようと
少し下心出してとまどってしまった。

いろいろ考えているうちにその野獣は床に寝そべって
グーグーと眠り始めてしまった。

なんて図々しいやつ。
王子だから我がままいっぱいに育ったんだろうか。

野獣の横顔は猫のような犬のような
不思議な顔で毛はふさふさしていた。
あーあー明日は床が毛だらけだと思ったが
その猫のような犬のような顔がふとかわいいとも思ったので
毛布をかけてあげた。

次の朝、起きたら野獣は朝ごはんを作っていた。
そのお味噌汁の香りに不覚にもお腹がグーとなった。
しばらく置いてあげてもいいかなと思ってしまった。

それからひと月が過ぎ
ふた月が過ぎ
み月が過ぎたところで
さすがにおかしいと思い始めた。

この野獣ときたら
ただ食っちゃ寝してゴロゴロわたしになついてくるだけだった。
魔女を探すとか王子に戻るために何か調べたりとか
まったくそういう活動をしてない。
普通するだろうそういうこと。

どう考えてもこの野獣は王子ではない。
この野獣はたんなる野獣だ。
人間ですらない。
わたしは騙されていたんだ。
そう思った瞬間怒りが吹き出てきた。

「出てってよ」

床に寝転がっている野獣を見て
わたしは大声を張り上げた。
野獣は驚いたような泣きそうなような
そんな情けない顔でわたしを見上げた。
そんな情けない顔で見ないでよ

「好きだから騙してたんだ・・・好きだから・・・」

そう言って野獣はわたしの部屋から出て行った。
その言葉に一瞬ぐらついたわたしだったが
ともあれその時からわたしの本当の王子探しがはじまった
のだったのだが・・・

街をぶらぶらしてみた
誰かに声をかけられるかと思ったけど
誰にも声をかけられず

結婚相談所にもいってみた
年収1000万の外科医者に興味をもつが
あっさり向こうから断られた
わたしは年収1000万にひかれたのか
王子より医者という肩書きにひかれたのか
なんか後悔だけが残った。

結局王子なんてものは見つからなかった。
わたしに残ったのは寂しい気持ちと後悔だけ。
・・・それとベランダで育ててるアイビーだけ。
そういえばこのアイビーを野獣は食べそうになったけ。

馬鹿馬鹿しい。
むなしい。
腹立だしい。
淋しい。
あいつ。

あの野獣は今頃どうしているだろう。
どっかの野山にでもいるのだろうか。
また会いたいと思ってた時
ピンポンがなって目の前にあいつがいた。
涙が出てきた。

「本当は王子じゃなくて野獣だけど
きみが好きなのは本当だから」

バカ、早く入ってよ。

シャルー・ウイー・ダンス?

シャル・ウイー・ダンス2



目の前に美女が転がっていた。
いやこんな表現はないのかもしれない。
だが確かに転がっていたのだ。
倒れて転がり続けている。
ぼくは何がなんだかわからず
しばらくの間その様子を見ていた。

10分くらいたった後
美女は転がるのをやめた。
そして仰向けに倒れたまま手足をワナワナと奮わせ始めた。
よく見ると右手に何か持っていた。
それはかじりかけのキノコだった。

このままでは危ない
そう思い、ぼくは水筒のお茶を彼女の口に持っていった。
はじめは吐き出していたがじょじょに飲み始めた。
しばらくすると大分落ち着いてきて震えも止まった。
そしてまぶたを閉じてすやすやと眠ってしまった。
ぼくは抱えた手をどうすればいいのか
ここでそのまま寝かしておくわけにもいかず
硬直状態になってしまった。

しかしなんと美しい顔をしているのだろう。
すべての顔のパーツがはっきりとしていて
あたかも絵画の世界から抜け出てきたような
現実ばなれした美しさをはなっていた。
ぼくは自然とくちびるに顔を近づけた。

あと少しで口づけできそうなところで
眠れる森の美女はぱっちり目を覚ました。
ぼくは口をとがらせたまま
あたふたしていると

「王子様」

と美女は言った。

どうやら彼女は幻覚を見ているようだった。
ぼくはどう見ても王子様なんかには見えない
髪もぼさぼさだし
服も高校生の時からずっと同じの着てるからくたびれてる
そんなぼくをこともあろうに「王子様」だなんて
幻覚の症状がよっぽどひどいに違いない。
でもつい面白くなってこう言ってみた

「一曲ぼくと踊りませんか?」と

そんなわけで今この美女と一緒に踊っている。
曲はなにもかかっていないけど
チークダンスでゆっくりゆっくり踊っているのだ。
それは夢のような時間だった。
踊っているうちにはっきりわかってきた
ぼくは彼女を好きになっているって。
離れたくないと思った。

たからいつ彼女が正気に戻るか。
それだけが気がかりになってきた。
正気に戻ったらきっと
もう踊ってはくれないだろう。
いやそれどころか。
警察に行ってしまうかもしれない。

そして、
だんだんと彼女が正気に戻っていくのがわかった。
まだ少し震えていた体もおさまり
目もうつろだったのが
はっきり見ている目に変わっていった。
ぼくはたじろいだ。
そして観念した。

「すまない、つい・・・」

すると彼女は小さい声で

「いいえ、こちらこそごめんね」と言った。

それからゆっくりと話し始めた。
どうやら彼女はだいぶ前から正気に戻っていたようだった。
幻覚を見てるふりして踊りに付き合っていたみたいだ。
やっぱりそうだったんだな。
どうやらからかわれていたのは
ぼくのほうだったらしい。

「さよなら」

そう言っていさぎよく去ろうと思った。
そうしたら聞こえた。
か細い声で

「わたしもあなたと踊りたかったの」

その時、ぼくは手を握ってまっすぐ彼女のほうを見て言ったんだ。

「あらためてぼくと踊ってくれますか お姫様?」

男の子女の子

男の子女の子



わたしはタニシざんす。
いちおう名前はタニーざんす。
タニシの世界は広大でこの地球上でタニシがいない陸地は南米大陸だけざんす。
それはそうとわたしは困っているざんすよ。

男か女か
それは生物にとっては非常に重要なことざんすが
我々タニシという生き物は男と女の区別がなかなか上手くつかないざんす。
ちなみにわたしは男ざんす。

ある日わたしが河の勢いが少ない場所でまったりとくつろいでいるところ
男が近づいてきたざんす。
別段気にはしなかったざんすよ。
ここは体を休ませるのには最適な場所ざんすから。

ところがそれからというもの
ずっとわたしの近くによってきては
まとわりつくような熱視線をあびせてくるようになったから

ははーん、なるほど。

この男はわたしが女だと思っているとわかったざんす。
男か女か見分けがあまりつかないタニシの世界ではありがちなことざんすね。
それはもう暑いサウナで隣にいる人がジリジリと近づいてくるぐらい
気持ち悪かったざんすけど
ふといいことを思いついたざんす。

そうざんす。
いっそのこと女になりすまして
この男をからかってみたら面白いかもしれないざんすね。
そう考えたんざんす。

それからわたしはなるべく御淑やかに振舞うようになったざんす。
そうしたら面白いものでその男は何かモジモジした動きを見せ始めたざんす。
おもしろいざんす。
わたしはその男の様子をチラチラ見てはほくそ笑んだんざんす。
そうして何日か面白がったざんす。

顔がトマトのように赤くなる奴ざんす。
その様子を見ているうちにわたしに油断という心が生まれていたざんす。
こいつは何かしたくてももじもじするだけの
シャイで内気な奴ざんすと。

ところがある日急接近してきたざんす。
いきなり上から人間の足が降りてきて
あやうくその男とわたしは踏まれてしまうところだったざんす。
足が降りてきたいきおいでその男が水圧で吹き飛んで
タニシにしてはとてつもないスピードで急接近してきたざんす。
そしてそのことをいいことにその男はそのまま勢いよくわたしに近寄ってきたざんす。
しまったと思ったざんす。
わたしたちタニシは逃げるスピードがとても遅いざんす。
このままではまずいことになるかもしれないざんす。
仕方ないからわたしは正直に白状することにしたざんす。

「わたしは男ざんすよ」

するとその男はこう言ってきたざんす。

「わかっていた」と

わたしは大急ぎで逃げることにしたざんす。

ぼくはアンモナイトと出会い

アンモナイト芸術



アンモナイトは芸術だ。
そうぼくが確信したのは一年前の夏のある日だった。
それは本当に燃えてしまいそうな暑い日だった。
一時でも涼を求めてぼくは木陰に隠れた。
腰を落とすとふと手に何かふれる感触があった。
それは見たことのない不思議な石だった。
なかに何やら螺旋のような模様があり
ぼくは見た瞬間その石の虜になった。

辞典で調べたらそれはアンモナイトという生き物の化石であることがわかった。
それからというものぼくはアンモナイトの化石を集めることに没頭したのだ。

ちなみにぼくは芸術家だ。
だけどほとんど絵が売れないから
通りかかった人の似顔絵を書いて生計をたてている。
しかしアンモナイトの化石を見つけてからは似顔絵書きをひとまず休業だ。

土という土
崖という崖をしらみつぶしに調べた。
意外とあるもので結構な数の化石を手に入れた。
今まで気にも留めなかったがここは海に近いせいか
よくそういう化石がとれるらしかった。

この魅惑の螺旋にとりつかれたぼくは
当然のように集めた化石をもとにアンモナイトの絵を描くことにした。

そして一枚だけ絵を描いてみた。
それは貝殻だけをそのまま忠実に描いたものだが
一枚だけ書いてみたところで
中身はどんなものなんだろうと強く思うようになってきた。
しかしアンモナイトの化石というのは貝殻の部分しか残っていなくて
その中身がどういうものなのかちっともわからなかった。
友人や親戚や牧師様に聞いても誰も知らなかったので自分で想像してみることにした。

普通に考えれば普通の貝
たとえばタニシみたいな感じなのかなと思う。
しかしこれほど芸術的な螺旋を持つ貝殻の主が
タニシの如きしょうもない生き物と一緒なはずがない。
やはり常人が想像できないような生き物に違いないのだ。

ドラゴンだ。
ふいにそう思った。
貝殻の中身はドラゴンのような強い生き物に違いない。
この貝の大きさからだとおそらく小さいドラゴンだろうが
ドラゴンが貝殻に入っているに違いない。

それからアンモナイトの絵を描きまくった。
あの芸術的な螺旋とドラゴン。
これ以上の組み合わせはないと確信した。
絵を見た連中はみんな「そんなバカな」と笑ったが
ぼくは全然気にしなかった。

芸術とは信じることだ。
自分が思い描いたイメージを信じ込む。
とことん信じ込む。
そうすることで最高の芸術が生まれるのだ。

しかし
それからしばらくして
アンモナイトの中身が残っている化石が出てきたというニュースが飛び込んできた。
ぼくは中身がどういうものか大変気になったが
新聞を買って見るのに少し躊躇していた
ドラゴンでなかったらどうしよう
そうやって迷っていたら新聞が風にのって運ばれ
ぼくの顔の上に到着した。
そして発見したのだ
アンモナイトの記事を。

なんだこれは?
それが素直な感想だった。
この芸術的な螺旋にイカのような足がにょろっと出ている。
なんの面白味もないものだった。

一気に何かがひいていく感じがした。
そして立ちすくんだ。
その時かつて絵を見た連中のひとりがぼくのそばにより
アンモナイトの記事を見たかと催促してきた

「見ていない。あんなものはアンモナイトではない」

ぼくはそう言って新聞を破り捨てたのだ。
プロフィール

Author:子牛
ようこそいらっしゃいました。
大人向けの創作童話を作っています。
よかったらみてください。
ありがとうございました。

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